2015年04月10日

スマホをめぐって学長さんが熱くなっている件

 信州大学の山沢清人学長が入学式の挨拶の中で「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」と言ったことが、話題になっています。

http://www.asahi.com/articles/DA3S11693609.html

 これに対して、奈良県立医大の細井裕司学長が入学式で「理解できない」「スマホが独創性豊かな学生を育てることを阻害しているエビデンス(証拠)はあるのか」と批判しました。

http://www.sankei.com/west/news/150408/wst1504080067-n1.html

 山沢学長の挨拶の全文は信州大学のHPで読めます。
 
http://www.shinshu-u.ac.jp/guidance/president/notification/entrance.html

 該当部分を抜き出しておきます。

 残念なことですが、昨今、この信州でもモノやサービスが溢れ始めました。その代表例は、携帯電話です。アニメやゲームなどいくらでも無為に時間を潰せる機会が増えています。スマホ依存症は知性、個性、独創性にとって毒以外の何物でもありません。スマホの「見慣れた世界」にいると、脳の取り込み情報は低下し、時間が速く過ぎ去ってしまいます。
「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」
 スイッチを切って、本を読みましょう。友達と話をしましょう。そして、自分で考えることを習慣づけましょう。自分の持つ知識を総動員して、ものごとを根本から考え、全力で行動することが、独創性豊かな信大生を育てます。

 10日午前9時現在、細井学長の挨拶は奈良県立医大のHPで確認できませんでした。たぶんそのうち掲載されるでしょう。

 私が山沢学長の言葉をWEBで知ってまず思ったのは、今年度に大学に入学する人たちの中に「スマホやめますか、信大生やめますか」が「覚醒剤やめますか、人間やめますか」をもじっているとわかる人って、どのくらいいるんだろう?ってことでした(笑)このコピーがTVで流れて流行語にもなったのは1980年代、今からもう40年も前のことなのです。

 もじりだとわかれば、薄笑いを浮かべながら聞き流せるかもしれないけど、もじりだとわからないと額面どおり受け取るかもしれません。

 この学長先生、電気機器学がご専門で、携帯電話の技術革新にも携わったということですが、どうしたことか、まるでスマホは「アニメやゲームなど」の「見慣れた世界」で「無為に時間を潰せる」道具に過ぎなくて、「知識」「知性、個性、独創性」の拡充とは無縁なものと決めつけて語ってしまっています。この方が携わった「技術革新」というのがそういう方向性のものなんでしょうか?

 もちろんスマホの「スイッチを切」ることも必要ですが、スマホでも本も読めるし、友達と話もできるんですよ。世の中には、スマホでできるコミュニケーションは浅いとかいう言説もありますが、それなら、スマホを介さないコミュニケーションの方が深いという証拠はあるのでしょうか?

 そもそもスマホVSリアルというふうな図式こそ、リアルではないと私は思います。そういう図式的思考は「知性、個性、独創性にとって毒以外の何物」かでありえるのでしょうか?

 それに、こんなふうに一面を捉えてスマホを全否定するようなことを受験者用の大学案内とかに載せていたら、受験者・入学者は確実に減るでしょう。それを、入学が決まっていて「信大生やめますか」と言われてやめたくなっても簡単にはやめられない人たちに向かって言っちゃうのって、一つ間違えばアカデミック・ハラスメントなのでは?

 そんな言った者勝ちの状況で一方的に言うのだって「知性、個性、独創性にとって毒以外の何物」かでありえるのでしょうか?

posted by TACO at 09:42 | 愛知 ☁ | Comment(2) | TrackBack(0) | 公演までの道のり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この問題に憤慨している中年のおやじです。
いろいろなコメントを読んでいて、一番賛同します。スマホVSリアルというふうな図式こそ、リアルではないと私は思います。そういう図式的思考は「知性、個性、独創性にとって毒以外の何物」かでありえるのでしょうか?
大賛成です。
卒業式の式辞もあわせて、(入学式と卒業式の式辞の文章は2割くらいほぼ同じ。コピペ?)
学長の頭の中を想像すると、「たぶん独創性のある人材が求められているはずで、(企業のイメージ調査で信州大は独創性で1位というデータからそういう思い込みになったのでは?)それを阻害しているのは、スマホであるに違いない、だからスマホやめますか?とストーリーは進んでいくのである。
スマホと携帯電話とゲームとネットの定義がわかっていなくて混同しているのは?
言葉の定義をきちんとし、思い込みでなくデータをもとに話をすすめるという科学者としての最低限のルールが欠落している。
(厚生労働省が発表している企業が求める人材では、1999年に創造性という項目が4位なって以降は、5位にも入っておらず、熱意・意欲が1位、行動力・実行力が2位 協調性やチームワーク力が3位にずっと入っているというデータがある。にもかかわらず、今の企業は協調性よりも独創性のある人材を求めていると述べている。)
最後に思ったのは、独創性を求める学長のこの式辞こそがまるで独創性がないことです。
突然の書き込みすみませんでした。
Posted by 史記一乃助 at 2015年04月10日 10:29
詳しいご教示ありがとうございます。
卒業式と入学式で文章を使い回していたんですね。
そうやって学生に「独創性」を説くというのは、独創性なんて言葉に惑わされるなという反面教師になっていて興味深いです(笑)
Posted by TACO代表 at 2015年04月12日 11:38
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